人事管理エクスプレス

COBRA補助金の延長

American Recovery and Reinvestment Act of 2009 (ARRA)により、レイオフその他で退職を余儀なくされた従業員に対する医療保険補助プログラムは2010年3月31日で一旦終了したが、Obama大統領はさらに5月31日まで延長する条例にサインした。

これにより、2008年9月1日から2010年5月31日の間に不本意な退職を余儀なくされた従業員は失業中の医療保険COBRA保険料の補助金を65%15ヶ月間まで連邦政府から受けることが出来る。

ユニオン加盟率は変化なし

労働省統計局のレポートによると、給与所得者のユニオン加盟率は2009年が12.3%で、2008年の12.4%から殆ど変化がないことが明らかになった。
2009年度においては全米の企業で多くのレイオフがあり、全体の雇用数が激減、ユニオンに加盟する仕事も全体で77万1000件減少した。

労働省統計局はまた給与の中間値も発表しており、ユニオン加盟従業員の週給は、2009年度が$908、非加入従業員の場合は$710であった。

その他のインフォメーションは統計局のウエブサイトwww.bls.gov/news.release/pdf/union2.pdf. で入手できる。

向こう10年間の労働市場

労働省統計局は2008年から2018年までの10年間の職業別の推移を予測調査しているが、2010-2011年の職業別見通しを発表した。

最新の報告では、高齢化と人種構成の多様化が顕著になり、労働市場は2018年までに10.1%、約1530万人増加すると予測している。
全体の雇用増における業種別では、サービス業が1460万人増加、96%あまりを占めるとしている。

その他の詳細については統計局のウエブサイトwww.bls.gov/oco/. で入手できる。

無給のインターンシップ

Economic Policy Institute(EPI)のレポートによると、米国企業は多数の無給のインターン、及び新卒者を通常の従業員の代替要員として雇用するケースがあるが、連邦の賃金・時間条例に違反することもしばしばであるという。

EPIのリサーチャー、Kathryn Anne EdwardとAlexander Hertel-Fernandezは、「1992年から2006年までの大学卒業者のインターンシップ参加はうなぎのぼりで、9%から83%9倍になっており、約250万人の学生がインターンシップに参加しているのが現在である」と述べている。

インターンシプの増加傾向もあり、労働省は最低賃金の違反行為について取締りを強化し、若者世代を利用しようとする企業の監査は今後さらに強化されることは間違いない。
合法的に無給の人員を採用することが出来る時があるのか?それは非常にまれなケースであるという。

労働省のNancy J. LeppinkはNewyork Timesに、「貴方の会社が利益団体でインターンシップを求めている場合、無給のインターンシップを合法的に採用できる状況はそんなに多くはない」と述べている。
2006年のサーベイ結果ではあるが、アメリカ人学生の84%がインターンシップを経験、そのうちの64%が有給であったという(Vault.com)。

労働省賃金・時間課によれば、無給のインターンの雇用については下記の6項目の基準をきたさなければならないとしている。

●インターン生は従業員の代替要員としてはならない。

●業務は学業の延長に近い内容でなければならない。

●インターンの業務から性急な利益を求めてはいけない。

●インンターン生にベネフィットがもたらされる内容でなければならない。

●雇用期間中に職務の完了をする必要性はないこと。

●雇用主、インターン生の双方が賃金は発生しないことを理解していること。

 

その他にも遵守すべき項目がいくつかあるが主なものは下記のとおり。

1)トレーニングプログラムは学業の一部である。

2)インターン生はベネフィットを享受する従業員と同様の扱いではないこと。

3)トレーニングは一般的な、いずれの雇用主においても適用できるような内容とすること。

4)選考のプロセスは従業員の雇用とは異なること。

5)プログラムの広告掲載については雇用ではなく教育的な期間であることを表現すること。

利益を全く求めないでインターンの採用が可能かどうか?

労働省賃金・時間課のアドバイスによる解釈は言うほど厳しいものではなく、定義は「トレーニングを受ける側の生産的な業務の従事は、雇用主側のトレーニングと管理業務の提供によりオフセットされる」。
別の言い方をすれば、インターン生が業務により多くのベネフィットを享受していれば合法的に無給の労働力としての基準は満たすことになる。

会社で無給のインターン生を利用する場合、6項目の基準の遵守が前提であるが、間違った場合には、差別、Workers’ Comp.、州及び連邦のTAXとベネフィット、失業保険、そして罰金と弁護士費用など、最低賃金と時間外手当の支給よりはるかに高くつく結果となることは心しておかなければならない。

インターンの業務について疑問がある場合には、他の従業員にやらせるか、あるいは少なくとも最低賃金を支払う方が問題を避けることができる、と専門家はアドバイスする。

Los Angeles Countyのビジネス状況

Los Angeles Chamber of Commerceが主催したスモールビジネス円卓会議のレポートによると、雇用の促進についてはまだまだ緩慢であるが、レイオフを検討している企業は一段と減少していることが明らかになった。

Employers GroupのJuan Garciaは、同社のリサーチによると、California州の企業は2009年度において80%がレイオフや昇給の凍結などで経費の削減を行なったといい、2009年度を「Bloody Year」と命名している。
経費削減を実施した企業においては平均で7%の給与が減少、Los Angeles Countyにおいては60万人が失業したという。

Summit Selling Systems, Inc.のPresident、Douglas Volkerは、当社は瀕死の状況を潜り抜けてきた経緯から、現状における分析結果で不採算部門の削減、あるいは閉鎖など、ビジネスのカテゴリーを見直し、売り上げ増につながるプランを設計し直すことを皆さんに薦めている」と、California州のスモールビジネスが直面した赤裸々な一面をコメントしている。

雇用主の優先課題

保険会社MetLifeの調査によると、ベネフィットコスト、そして従業員の勤続維持が雇用主にとって最優先課題であることが明らかになった。

MetLifeのVice President、Bill RaczkoはMetLife/American Benefit Councilのシンポジュウムで、「多くの企業においてベネフィットコストと勤続維持、さらに従業員の生産性の向上が経済危機以来、競争力を高めるために効率化の促進が重要なポイントになっている」と述べている。

今回の調査「Study of Employee Benefit Trends」の特徴は、健康志向プログラム、個人的な財務状況の改善、ワークライフバランスなどが従業員の生産向上にリンクするのではないかと特筆している。

概要は下記のとおり。

●53%が医療保険及びその他の従業員ベネフィット、47%が従業員の勤続維持が最優先課題であると回答。

●従業員の満足度が最優先課題とした回答は2008年の59%から2009年は53%に減少。

●ベネフィット内容についての従業員評価とした回答は2008年の37%から2009年は42%に増加。

●48%の企業が従業員の健康志向プログラムを提供、これは生産性の向上に寄与すると回答。

●31%の従業員は個人の財務状況の改善を希望しているが、会社からのサポートは受けられなかったと回答。

●35%の従業員は良いベネフィットプランを継続するためには個人負担が増加してもやむを得ないと回答。

●雇用主の56%、従業員の61%がワークライフバランスは生産性の向上に寄与すると回答。

●従業員の52%が快適な老後を過ごすには未だ資金が不足していると回答。

サーベイは2009年の第四四半期に行なわれ、従業員2名から1万人を超える企業の1503名のベネフィット責任者、及び21歳以上の従業員1305名へのインタビュー結果を収集、分析したもの。

解雇による訴訟問題を回避する5つのポイント

人は誰かを責めたくなるものであり、決して矛先を自分自身にはなかなか向けないものである。
「訴えてやる!」と言われることは従業員の解雇以外にはあまり無いかと思われる。

たとえ最終的に勝訴したとしても、弁護するために費やした時間、お金、エネルギーは膨大なものとなり、決して簡単に勝訴することはあり得ない。したがい訴訟そのものを回避するのが最善の策であり、下記の5項目そのためのヒントである。

1、人事部が査定するまでは決してアクションを取らないようにマネージャーをトレニングする。
マネージャーは、解雇のような撤回できない処置を断行する前に必ず人事部と相談すべきであり、決して一時の感情やはずみで従業員を解雇してはならない。

人事部は類似のケースを経験している可能性があり、どんな法的問題の可能性があるか、また情状酌量の余地があるかもしれない。次のステップを決めるまでの間、停職処分として社内へのアクセスを禁止するのも1つの方法で、それによりマネージャーの性急なアクションを押さえる。

2、重要項目を査定す
解雇を決めるまでには様々な要素がからむことが多く、マネージャー自身に下記の項目を考えさせる。

●現行の社内規定、過去の慣習から見ても解雇は適正な措置であるかどうか。

●陪審員から見ても解雇は公平な、正当な措置として見なされるか?

●該当従業員から過去に差別、職場の安全、給与などの苦情を申し出たことがあるか、もしあれば解雇が報復的な措置と見なされる可能性はどうか。

●今回の措置が差別に抵触していないか、保護されるグループに属しているかどうか。

●書面や口頭での契約を与えていないかどうか。オファーレターやその他の書面を確認する。

3、合意と理解の確認
シニア・マネージメント、直属のマネージャーと人事部の間で解雇の措置とその理由について明確な合意と理解が出来ているかどうか。
裁判においてマネージメントとライン・マネージャーの解雇理由が異なり、食い違うケースがよくある。

4、書面の再確認
解雇をバックアップするに足る適確な書面、証人がいるかどうかなど、必要な資料は紛失することなく、いつでも直ちに提出、閲覧できるように管理しておく。

5、相手の立場を尊重する
解雇が訴訟問題となる多くは、他の従業員の前で激怒したり、相手の言い分を聞くことなく解雇するなど、解雇時の扱いの不手際によることが多い。相手の立場も尊重すべきである。

家族への責任から発生する訴訟問題

多くの米国企業の雇用主においても「Family Responsibilities Discrimination (FRD)」についてあまり理解されていないところがあるが、これについては今後大きなリスクを背負う可能性があるため、雇用主は十分に気をつけるべきであると、Work/Family Lawの専門家は注意を促す。

CaliforniaのHastings College of the LawのJoan C. Williams教授は、FRDの訴訟は10年前までは例外的なものであったが、最近は激増しているのが現状であり、また原告が勝訴するケースが多く高額の裁定もなされていると述べている。

Willimsは、「私共のデータベースには2100のFRDの事例が管理されており、過去10年で4倍、勝訴の確立は50%となっており、これは非常に高い確率である」また、「裁定額の平均は57万ドル、21のケースが100万ドルを超えており、雇用主に多大な影響を与えることになる」とも述べている。

FRDは、従業員が家族の世話をするための責任に端を発する「差別問題」として提起されるものであり、妊娠、出産などに関し、母として、あるいは父としての家族への責任範囲も含まれる。

Williamsがまとめた2010年の最新資料によると、FRDの多くは妊娠、出産に関するもので67%老人介護9.6%子供の病気7%配偶者の病気4%新生児や養子の世話3%障害者の家族の世話2.4%などとなっている。

EEOC(米国雇用機会均等委員会)のガイダンスによると、連邦のEEO(雇用機会均等法)は介護そのものについて差別を禁止してはいない。したがい介護に対する差別行為が違法な取り扱いであるかどうかが焦点となり、議論が思うように進まないケースも見られる一面もあるという。

ドラッグストア大手WalgreenのVice President、Deidra Byrdは、「従業員が家族のことで自宅や病院を毎日往復するような状況では効率の良い生産的な仕事が出来るとは思われない。したがい当社では出来る限りのフレキシビリティを備えた対応で応えており、常に努力と改善を目指している」とFRDについてコメントしている。

Workers‘ Comp.の虚偽申請で2000万ドルの支払い

California州の人材派遣会社Staffing Services, Inc.は、派遣従業員のWorkers’ Comp.保険料を軽減するため、異なるコード番号を使用し、保険料の支払いに虚偽の申請があったとされた。

虚偽の申請による保険料の未納額は2002年から2005年までで約1800万ドルに上ることがCalifornia州のWorkers’ Comp保険会社State Fundの監査で明らかになった。

同社はCalifornia州判事に嘆願書を提出、制裁金を含め2000万ドルを支払うことに合意している。

食事、休憩時間の支払いで3900万ドル

Philadelphiaに本拠を置くAramark Corp.は、2万名の時給従業員の食事、休憩時間などの適正賃金が支払われていないという集団訴訟で、約3900万ドルを支払うことに合意した。

California州の中部地区裁判所の最終的な承認が得られれば、ArmarkグループのCaliforniaの従業員約2万3000名からの2件の訴訟が解決されることになる。

和解が成立すれば一人当たりの上限7500ドル、California州労働開発局に3万9000ドル30%を上限とする弁護士費用などに充当される。

前職及び現職の従業員に適用される期間は2005年7月29日から最終合意の承認がなされた日までとなる。

今回の発端は、Angel Stadium、Verizon Wireless Amphitheater、Anheuser-Busch Corp.、Boeing Corpなどのイ
ベント会場での同社のバーテンダー、販売員、カフェテリア従業員、キッチン従業員など数多くの従業員の食事、休憩、残業時間などの適確な管理とそれに対する適正な支払いがなされていなかったことにより、California州の賃金・時間条例に違反するとされたもの。

放送作家の差別で7000万ドル

テレビ17局と製作スタジオ、タレント会社の10年の長きに及ぶ集団訴訟は、17局のテレビ会社が7000万ドルを支払うことでこのたび和解した。

原告によるとテレビ局は若者へのアピールを目的とした番組制作により、40歳以上の放送作家の雇用ををしなかったことが問題提起された。

今回の和解で4300万ドルは157名の放送作家に配分、2500万ドルは、研究・開発資金、保険、年金など訴訟メンバーの将来の基金として使用される。

被告側は今回の和解について非は認めていないが、訴訟問題に終止符を打つことは永年の望みであったとコメントしている。

 

過去の人事管理エクスプレス一覧へ

会員登録すると、毎週一回アメリカの最新事情を詳しく解説する
『人事管理エクスプレス』の全文をメールで受け取ることが出来ます。
会員登録はこちらから
人事管理エクスプレス

相談の仕方

メンバーになりログイン後は「相談フォーム」を開き、フォームに必要事項、相談内容を記入する事ができます。

購買部より

米国式人事ハンドブック全3巻220ドル(送料込み)

米国式人事ハンドブック 第1巻
EEOに遵じた人事対策・訴訟の問題と対策・よい人材の募集と採用の技術・保存版「面接マニュアル実例」
米国式人事ハンドブック 第2巻
従業員ハンドブックの作成・保存版「ハンドブック実例」・米国のコンペンセーションと人事考課・効果的給与体系と人事考課
米国式人事ハンドブック 第3巻
懲戒と解雇の方法・訴訟問題への対処法・セクシャルハラスメント対策・効果的人事管理システム10箇条・良き管理職を育てる10箇条

チャート式により解りやすい解説・ケーススタディを多用・すぐに使える面接マニュアル、就業規則サンプル・逆引き辞書ですぐに検索可能と大変見やすく機能的な人事のガイドブックです。貴社及び本社国際部にお備えください。

プロフェッショナル・スタッフィングUSA 転職支援・ヘッドハンティング プロフェッショナルバンク SOLAC 経理・会計事務所専門の転職サイト 会計求人ドットコム