ヘルスケア改革法案
下院議会で219対212の僅差でヘルスケア改革法案が可決された。下院議会は上院議会の改革案をほぼ承認しており、今後いくつかの変更が加味された上で上院議会に送付され、最終的にObama大統領に送られる。今回オバマ大統領が署名した改革法案はその大半を成すもので、これによる国民皆保険の第一歩が始まったと言えるが、一方雇用主への影響が今後の課題となっている。
今後の変更はあるものの、雇用主にとって影響を及ぼすものとしては下記の10項目と分析されている。
1、雇用主責任
改革案は雇用主が従業員への医療保険の提供を義務付けるものではないが、2014年から50名以上のフルタイム従業員を擁する企業が医療保険を提供しない場合は、従業員1人につき年間$2000ドルのペナルティ(TAX)を支払うことになる。最初の30名は控除されるため、70名の従業員を擁する企業の場合のペナルティは8万ドルとなる。
2、扶養家族
26歳までの扶養家族をカバーする、また子供の既往症のカバーを除外することを禁止する。
2014年に法令が有効となった半年後から全ての雇用主に適用される。
3、ベネフィットの制限の禁止
保険会社は加入者に対恒久的にベネフィットの制限をすることを禁止する。
4、年間制限の禁止
個人及び法人プランいずれにおいても年間制限額を設けることを禁止する。これについては禁止法案が実施される前に何らかの代替案が認められそう。
5、賃金格差による差別禁止
給与の高い人だけのグループを有資格としてプランを設定することを禁止する。
6、授乳のための休憩
FLSA(労働基準法)を改訂し、授乳のための無給の休憩の提供を雇用主に義務付ける、またこの休憩についてはプライベートな場所とすることも求めている。
7、Cadillac Plans
2018年から雇用主が提供する保険プランで一定額を超える金額については課税する。
現状では年間保険料が個人で1万200ドル、家族で2万7500ドルと設定されているがインフレーションによる変動制となる。課税額は40%とされているが変更される可能性もある。
8、自動加入
従業員200名以上を擁する企業のフルタイム従業員については医療保険を自動的な加入とする。
自動的な加入の後に従業員は加入のキャンセルを選択できる。
9、Insurance Exchange
各州は2014年までに、有資格の個人及び一部の企業に政府が運営する保険の提供を開始する。2017年までは従業員100名以下、それ以降は100名以上の企業にも提供する。
10、スモール企業への税額控除
2010年からスモール企業が従業員に医療保険を提供する場合には保険料の35%(2010年)を税額控除する。従業員10名以下で平均年収が2万5000ドル以下の企業については100%税額控除
されるが、平均年収がそれ以上のスモール企業については控除は減額される。この法案2014年には50%まで控除される予定。
民間の賃金上昇率は依然として小幅がで継続
BNA.のWage Trend Indicator(WTI)によると、民間における年間の賃金上昇率はまだ小幅状態が継続されるとの見通しを発表した。
指標では8四半期続けて下がっており、2009年の第四四半期は1976年を100とした場合、97.14となっている。
WTIのデータベースの管理コンサルタントKathryn Kobeは、「最近の上昇率指標は改善方向となっているものの前四半期よりは下がっており、2年前よりまだ低い水準にあるため、この傾向は当分続くものと予測している」とコメントを発表した。
労働省のEmployment Cost Index(ECI)では2009年は1.4%と予測しており、2008年の2.4%から大幅にダウンすると予測している。
Kobeは、「現在は肯定的、否定的な要員が見え隠れした状況であり、ある意味では賃金の上昇指標そのものが底辺に近づいていると言える。しかし賃金上昇は経済成長と新規雇用に連動するため、必ずしも楽観視はできない」ともコメントしている。
1月は2万6000件、2月は3万6000件の仕事が削減されており失業率は9.7%と依然として高止まりしているのが現状である。
有給の病気休暇は3000万人を越える労働者をサポートする
民主党の経済諮問委員会は、有給の病気休暇が連邦法で施行された場合、3000万人を超える労働者が資格取得者となるだろうというレポートを発表した。
民主党議会は雇用主が従業員に有給の病気休暇を義務付ける法案を上下両院に提出、内容は30時間勤務につき少なくとも1時間、上限として年間に56時間、企業によってはそれ以上も可能とするポリシーを設定できるというもの。 District of Columbia、San Francisco、Milwaukeeなどの地域では州の条例のもとに
すでに施行している。
労働省統計局のデータを基にした分析結果で下記の概要が明らかになっている。
●法案が施行されると少なくとも3030万人が有給の病気休暇を取得する。
●取得すると予測される約半数の1470万人は低賃金層の4分の1に該当する。
●1330万人が女性。
●390万人のアフリカ系アメリカ人、560万人のラテン系アメリカ人など、3分の1がマイノリティに該当する。
リセッション期間における女性CEOの報酬減少率は男性よりも高い
調査会社Corporate Libraryのレポート「The Corporate Library’s Female CEO Pay Survey 2009」によると、経済が低
迷したいわゆるリセッション時期におけるCEOの収入は総じて減少しているが、女性の方が男性より減少率が高いことが明らかになっている。
2007年と2008年を比較すると、ストックオプションの行使や普通株式の付与などの価値を含め、女性CEOの場合18.5%、男性CEOの場合は6.1%の減少となったという。
このレポートの著者であるResearch Associate のGreg Ruelは、「男性と女性の給与水準の比較は複雑な面があり、女性の方が圧倒的に例が少ないことから差があるのかと思われるが、基本的な報酬体系そのものは大差はないと思われる」とコメント。
今回の調査で判明したその他の内容は下記のとおり。
●女性CEOの平均報酬は男性CEOの58%(中間値においては78%)であった。
●男性CEOの任意裁量のボーナスは女性CEOの3.5倍、また役員特権としての経費は女性の2倍となっている。
●中間値の基本給与においては女性CEOの方が男性CEOより4万ドル高い。
●2008年のトップ150名の高額所得者リストにおける女性CEOは、United Therapeutics CorporationのMartine A. Rothblattひとりだけであった。
賃金・時間で雇用主の留意点10項目
労働省賃金・時間課は従業員の賃金、時間、ステイタス、時間外手当などについて雇用主の調査を強化している。
労働省の調査が入った場合、雇用主として書面の提出が求められるが、その他留意点として主なものは下記の10項目である。
1、最低賃金
2010年の連邦の最低賃金は$7.25であるが、FLSA(労働基準法)で最低賃金の支払いが義務付けられている。また各州においてそぞれ最低賃金が規定されているが連邦のそれよりは高いのが大半であり、Californiaは現在$8.00となっている。
2、時間外手当
FLSAは時間外手当として、有資格の従業員(Non-exempt)の週40時間を越えた勤務については雇用主に通常賃金の1.5倍を支払うことを規定している。また州によって1日の労働時間による時間外手当の規定もあるため州の規定を確認する必要がある。
3、Exempt従業員
Executive、Administrative、Professional、Outside sales、Computer specialistなどはExempt従業員として時間外手当は免除されるが、FLSAは特にWhite-collarについて一定の基準(職務内容、責任範囲、給与など)をクリヤーしなければならないことを強調している。
雇用主が時間外手当を免れる手法として従業員の分類をExemptとする問題が多発しており、労働省は雇用主に従業員の分類については慎重に、必要であれば専門家に訊ねるよう警告している。
4、記録管理
特定のフォームはないものの雇用主は、従業員の就業時間、賃金、期間などの正確な記録の管理、保存が義務付けられている。
5、未成年労働
FLSAは18歳以下の労働については危険な仕事、長時間労働、日にちや時間に制限を設けており、また州においても規定を設けているので、雇用主はそれを遵守しなければならない。
6、賃金支払い
連邦、州法で規定されており、雇用主は現金または同等、振込みなど賃金については従業員に便利な方法で支払うことが求められている。また支払いの頻度や退職の際の未消化の休暇その他についても各州で規定されている。
7、ポスター
雇用主は職場に最低賃金が記述されたポスターの掲示が義務付けられている。
8、休憩時間
連邦法では休憩、食事時間などについて規定はしていいないがスタンダードとなっており、各州で規定が設けられている。州によっては食事時間も有給というところもあり、雇用主は州の規定を確認、遵守することが求められる。
9、源泉徴収
連邦法、州法ともに源泉徴収については条例に基づいて行なうことが求められているが、連邦法は州法と比べていくつかの制限を設けている。特に低賃金で働くNon-exempt従業員の場合、源泉の結果が最低賃金を下回る場合には源泉できない項目を設けている。
10、賃金均等法
EPA(Equal Pay Act)とTitle Ⅶ(公民権第Ⅶ章)の二つの連邦法で性別による賃金格差を禁止している。雇用主は従業員が同等の仕事をしている場合、性別に関係なく同等の賃金を支給しなければならない。
(Q) & (A) 仕事上の経費の精算
(Q)当社では従業員の経費の精算については締め切りを決めて支払いをしているが、そのポリシーを守らない従業員がいる。その場合に会社は支払いを拒否できるか?
(A)NO.出来ない
Californiaの州法では雇用主に対し、従業員が、車のマイルエージ、トラベル、携帯電話など仕事に関連した支出については支払わなければならないと規定している。
州法は更に仕事上の経費について従業員は放棄する必要はないとも規定している。もし従業員がポリシーを守らず、レポート提出を怠った場合であっても、雇用主が該当従業員には仕事上の経費が発生していると知っていた場合、あるいは知るべき理由があった場合、雇用主は経費を支払う責務がある。
タイムリーなレポート提出を奨励するにはいくつかのステップがあるが主なものは下記の2点である。
1、会社は従業員の仕事上の経費については全て支払いの責務を負うため、金額の多寡にかかわらず仕事上の経費については全てレポートで提出させる。
2、レポート提出の遅れについては従業員のパフォーマンスの一環として、頻度が多ければ懲戒処分となることもありうることを通知する。
会社としては支払いの責務があるため、従業員が遵守しない場合には懲戒処分は合法である。
女性従業員の差別で200万ドルの支払い
Seattleの連邦判事はEEOC(米国雇用機会均等委員会)がLes Schwab Tire Center chainに対し、公民権第Ⅶ章(Title Ⅶ)に違反するとして提訴していた差別訴訟について、同社に200万ドルを支払うよう合意命令の裁定を下した。
Les SchwabはCalifornia、Idaho、Montana、Nevada、Oregon、Utah、Washingtonなどに420店舗、6600名の従業員を擁する企業で、タイヤ交換要員、セールス、サービスなどにおける雇用差別、さらに昇給・昇格において女性差別があったとされた。
今回の訴訟で女性従業員約200名が補償対象となる。また2人の女性従業員が、会社からの報復的措置による損害賠償と精神的ダメージとして苦情を申し立てたケースは総額で28万5200ドルを支払う裁定を下している。
今回の合意でLes Schwabは非を認めてはいないが、「問題が解決したことは大変喜ばしいこと、会社として職場の改善すべき点については積極的に取り組み、従業員のサポートには最善の責務を果たして行く」とコメントしている。
12時間勤務への変更の未払い賃金
Ohio州の石油精製会社Husky Energy Corpでは従業員を12時間勤務のシフトに変更、労働省はFLSA(労働基準法)に違反するとして提訴していたが173名の従業員に総額96万9182ドルを支払うことで和解した。
労働省はHusky Energyが勤務を8時間から12時間にシフトしてからの問題と指摘、週の勤務時間を60時間と24時間と交互のシフト制にし、残業代を支給しないで「調整」の形で均一賃金を支給していた。
同社はシフト制による時間差の残業代も計算していなかった。シフトによる時間差については条例で求められているわけではないが、支払われている場合には残業代の計算として通常賃金を含めなければならないとされている。
Husky Energyは96万9182ドルの未払い賃金と残業代の適確な賃金支払いシステムの確立、シフトの時間差についても正確な計算システムの導入と実施に同意している。
第1巻
第2巻
第3巻


