人事管理エクスプレス

ILO(国際労働機関)の予測2010年


世界的な経済不況の影響でILOは2010年も引き続き世界的に失業率は高止まりするというレポートを発表した。


発表されたレポート「Global Employment Trends 2010」では、全世界における失業者は2億1200万人で報告された数字としては過去最大数であると国連の担当者は述べている。

さらに不安定な雇用環境にあり、ベネフィットなども提供されていない請負的な労働者の数は2009年度で15億とも言われており、全世界の労働人口の半数を占めると見られている。


ILOは2010年度においても依然として世界的に失業率は高止まりで推移すると予測しており、米国および工業国においては300万増加、他の地域は現状で推移すると国連は予測している。


ILOによると、全世界の失業率は2009年で6.6%2億1200万人に達しているが、これは2007年と比較すると3400万人増加しているが、その大半が2009年の失業者であるという。


ILOは、「経済は多少上向きになっているというものの労働市場においてはほんのわずかな明かりしか見えていないのが現状である」とコメントしている。


2008年から2009年において顕著なのは工業国における失業で2.3%増加、前Soviet連邦での経済低迷で2%増加、Latin America/Caribbean諸国で1.2%増加、その他地域で0.5%増加するとILOは述べている。


2010年度については多少改善されると見てはいるが世界的な失業率は6.5%2億1300万人前後と予測している。また工業国の失業率は2009年の8.4%から2010年は8.9%に増加すると危惧している。


ILOは、IMFが2010年度の世界的経済成長を3.1%と予測しているが過大評価とみており、依然として失業率が下がる要因は見当たらないとしている。




米国企業は昇給については様子見傾向


World Workの調査では、2009年度に賃金凍結を実施した企業は約4分の1に上るが、2010年においても延長する、一方約50%が通常の賃金ベースに戻すとしている最近のサーベイ結果を発表した。


2010年1月19日に発表されたレポートでは多くの企業が2010年の賃金体系について保守的な傾向にあるという。


World WorkのJim Stoeckmannは、「多くの企業が、いつ通常の賃金体系に戻すか様子見的なスタンスでいる」、「経済が弱含みの中で賃金体系を元に戻すのが早すぎた場合には企業のリスクとなるし、遅すぎても優秀な従業員の維持や離職率の問題に直面することになる」とコメントしている。


今回の調査は2009年4月と10月の過去2回分をアップデートしたもので、賃金、ベネフィットなどについて訊ねたもので同社の会員企業875社からの回答結果を集積、分析したもので概要は下記のとおり。


●2009年度において52%の企業が一部あるいは全従業員の賃金を凍結。


●2010年度において22%が凍結を延長、54%が通常の賃金体系に戻す。


●2009年度ににおいて13%の企業が賃金カットを実施。


37%の企業が依然としてリセッションから抜け出していないため賃金カットを元に戻すことは難しい、29%は元に戻す、15%が賃金カットは継続。


●2010年に賃金凍結を計画していると回答した企業は、10月の回答では15-20%、4月においては10-14%であったことから増加の傾向にある。



企業は従業員のモチベーションを高揚するために、キャリア開発33%、金銭以外のリワードプログラム28%、トレーニングプログラム21%、金銭でのリワード19%など、従業員維持のための方策を検討、実施していることも明らかになっている。




インデペンデントコントラクターの規制を強化


Barack Obama大統領は、従業員の分類ミスとして多発しているインデペンデントコントラクターの問題を改善するため、2011年度に2500万ドルの予算計上を提案した。

さらに大統領は、追加基金として100名の査察官を増員し問題の改善に当たるとしている。


大統領は、労働省と財務省が共同でこの問題に対処、企業の分類ミスによる反則行為をなくすことを目指すと述べている。またインデペンデントコントラクターとした従業員の分類ミスは以前から指摘されていた問題で、今までの慣習は彼らから残業代や失業手当を奪っていたことになるとも述べている。


企業は労働コストや税金を軽減するためにこの分類方法を利用してきた経緯があるが、一般的には2つのテストが使用され、インデペンデントコントラクターか従業員かを区別されている。

1つは「Reasonable Basis」と呼ばれるもので、特定のビジネスや産業など連邦政府や裁判所で分類されたもの。2つ目は「Common Law Test」と呼ばれるもので、労働者と職務、雇用主との関係などを調べ、インデペンデントコンタラクターか否かを決める。


これらの内容はいずれも、雇用主の指揮命令と独立的な立場の度合が考慮されるものであるが、指揮命令は、職務内容による行動、財務、雇用主との関係、の3点が柱となる。




口頭でのボナス支払いの約束


Texasの控訴裁判所は、American Energy Servicesのオーナーが、会社発足時に従業員に約束したボーナス支払いについて「口頭での約束」は有効であるとして支払いを命じる裁定を下した。


American Energy Services(AES)は1996年に設立、オーナーは発足時の従業員8名の会社の将来に対する懸念を緩和する目的で、会社が売却された場合には売却金額の5%を還元すると口頭で約束した。


会社は2001年に売却され、8名の発足時の従業員は継続して勤務していたが会社は売却金額の5%の支払いを拒否、従業員は契約違反として会社を提訴した。


会社側は、従業員は皆At-will(任意の雇用契約)の従業員であり、AESに勤務する義務はなく、会社側はいつでも雇用契約を解除できたこと、約束そのものは外交辞令的な非現実的なものであるとし、履行の責務はないと主張した。


裁判所はこれに対し、AESのオーナーが約束した5%について何のコントラクトも存在しないため慣例としてはAESの従業員に適合しないが、AESが口頭で約束したボーナスについてはいつでも撤回することはできたにもかかわらず、その事実が無く、したがい会社の売却時においてその約束の存在は有効であるとし、会社側に支払い裁定を下した。




アジア系アメリカ人の交通警察官に164万ドル


New Yorkの連邦地裁は、アジア系アメリカ人の昇格について差別的慣習があったとしてNew YorkおよびNew Jerseyの港湾委員会に総額164万ドルを支払う裁定を下した。


2週間の公判審理において陪審員は、港湾委員会におけるアジア系アメリカ人の昇格が2001年以前には全く無いこと、それ以降においてもほんの数名が昇格したに過ぎないこと、昇格そのものが上部役員の独断で決められていることなどが明らかとなり原告の支持を表明していた。


港湾委員会は、原告が提出した昇格の統計資料は違法行為を示すものでもなく、今までの慣習が間違っていると判断できるものではないこと、、港湾委員会は公民権第Ⅶ章(Title Ⅶ)に抵触するような違法行為は一切ないと主張した。


これに対し裁判所は、原告が提出した統計資料と陪審員の判断は妥当であるとし、差別的行為があったと裁定、11名の原告に損害賠償と遺失賃金として15万6000ドルから37万ドルを支払うよう命じた。

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