人事管理エクスプレス 10月2日発行 Vol. 278 (2009年度版)
多くの雇用主は医療保険の改革に伴なう費用の増加は転化する
Towers Perrinが行なった調査では、Obama政権で進められている医療保険の改革案により、雇用主に追加の負担が発生した場合、ベネフィットの削減、製品の値上げ、人員削減など、相応の負担分は転化する意向であることが明らかになった。
Towers Perrinの Managing Director、Dave Guilmetteは、「医療保険改革案により雇用主に負担が増加した場合、利益を減らしても吸収すると回答したのは全体の11%であり、その他は何らかの削減で負担増加分をまかなうと回答している」と述べている。
Towers Perrinによると、雇用主の80%がWashingtonの状況を真剣に伺っていること、23%が改革案に沿って負担が重くならないようベネフィットの内容を再考する、そして89%が、改革案が可決された場合には、現在提供している医療保険を見直し、再度方策を熟慮すると回答しており、負担増加分を全て雇用主が吸収するのは非常に難しいと思われると分析している。
連邦政府機関の雇用差別訴訟は増加
米国雇用機会均等委員会(EEOC)は、2008会計年度(2007年10月1日―2008年9月30日)における連邦政府関連の職員の雇用差別は2.4%の増加であることを発表した。
全体では1万5539人の個人から1万6752件の提訴がされたが、これらの苦情内容には人種、肌の色、性別、国籍、宗教、年齢、障害、報復措置などが含まれる。
さらに、正式な提訴まで行かない苦情の申し出が3万8898件あり、これは2,9%の増加、これらについては話し合い、金銭など、別の形で解決策が採られたもの。
したがい全体では5万5650件の苦情申し立てのうち、正式な提訴となったのは約30%、これは提訴の過程において和解により撤回されることが多いことを示している。
退職前に会社の書類をコピーした従業員の違法性
Las Vegasを本拠とするLVRC Holdingsは前従業員(男性)が、財務諸表、マーケティングデータ、顧客情報などの会社の書類をコピー、自分のe-mailに送信していたこと事実をつきとめた。また彼は会社のコンピューターネットワークにもアクセスしていたことも判明した。
LVRCは彼が、許可されていない情報や権限を超えた情報にアクセスしたとして、連邦政府が定めるコンピューターの悪用と詐欺条例(CFAA)に違反するとして全従業員を告訴した。
それに対し第九管区地区裁判所は、全従業員の違法性を却下。
全従業員はコンピューターファイルにアクセスする権限は持っていたこと、さらに雇用主が、個人使用の会社の書面のコピー禁止、個人のe-mailへの送信禁止などのポリシーを明確に実施していなかったことを理由とした。
(Q) & (A) 従業員のペイロール・レコード
(Q)もし従業員から、自分のペイロール・レコードを確認したいという要請があった場合、どのように対処すべきか?
(A)書面、口頭を問わず従業員から要請があった場合、雇用主はその情報を21日以内に提示する義務がある。もし義務を怠った場合750ドルのペナルティを従業員に支払わなければならない。
雇用主はペイロール・レコードについては最低でも4年間の保管を義務付けられているが、California州の雇用開発局(EDD)は8年間保管することを薦めている。
各従業員のペイロール・レコードは下記のものが含まれる。
1、名前、自宅住所、職種、ソーシャルセキューリティ。
2、18歳以下の場合は生年月日。
3、始業・終業持間、そして就業期間を示す記録。
4、食事・休憩時間、トータルの就業時間。
5、それぞれの期間におけるトータル報酬(賃金の他に宿泊や食事などがあればその記録も含む)。
6、それぞれの期間におけるトータルの就業時間と金額(時給・週給など)。
7、出来高制やインセンティブがある場合には、出来高の金額やインセンティブの内容を記述した書面。
障害者訴訟の和解
米国雇用機会均等委員会(EEOC)はSears, Roebuck and Co.が障害者保護法(ADA)に違反したとして提訴していたが、同社が620万ドルを支払うことで和解したと発表した。
EEOCによると1件の障害者保護法の訴訟としては過去最大の和解金額であるという。
訴訟内容はによるとSearsは、Workers’ Comp.による休暇を受給した従業員を、休暇を使いきった段階で解雇、障害を持つ従業員に対する適宜の便宜を計る措置を怠ったことが障害者保護法に違反するものであった。
今回の和解ではSearsに対し、Workers’ Comp.の休暇ポリシーの見直し、障害者保護法(ADA)を遵守、従業員へのADAに関するトレーニング、今回の和解内容の掲示、が義務付けられた。
根拠のない差別苦情で39万ドル
GoDaddy, Incの従業員Youssef Bouamamaは、上司が彼の国籍、民族、宗教について訊ねたこと、机に飾ってある写真について何処で撮影したものかなどを聞かれたことについて人事担当に差別の苦情を申し出た。
人事担当は大した根拠が無いとして申し出を無視、調査することはしなかった。
苦情申し出での1ヵ月後、Bouamamaは昇格の機会を見送られ、人事のスーパーバイザーと昇格されなかったことについて対立、会社は彼を解雇した。
Bouamamaは米国雇用機会均等委員会(EEOC)に苦情を申し出、EEOCはGoDaddyを告訴した。
公判において陪審員は、Bouamamaの上司及びGoDaddyについても差別の根拠はなかったとしたが、Bouamamaの苦情申し立てを無視したこと、昇格の見送りそして解雇という行為については会社側の報復措置であるとし、会社側に損害賠償39万ドルを支払う裁定を下した。
GoDaddy側はBouamamaの解雇について報復的な根拠は一切ないと主張、控訴したが、第九管区控訴裁判所は陪審員の裁定を支持、控訴を却下した。
違法移民の雇用
米国移民審査局(ICE)は、Texas州HoustonのShipley Do-Nut Flour and Supply Company, Incが、違法移民の従業員をかくまっていたとして、同社に罰金130万ドル、刑事罰の罰金25万ドル、社長に対し執行猶予と罰金6000ドルを支払うよう裁定した。社長および倉庫担当マネージャー3名はいずれもHoustonの地区裁判所に対し、今回の違法行為について罪を認めている。
ICEは2008年4月にHoustonの倉庫を事前通知なしに査察、社宅や宿泊施設に住んでいた27人の違法移民の従業員を逮捕、またソーシャルセキューリティ番号が無効であった42人については回復措置を行なった。
ICEはあらたに19番目のタスクフォース部隊をHoustonに設置、州や連邦機関と共に移民法違反の摘発をさらに推進する。
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