募集・採用に関する相談課
有名大学卒という肩書きに採用基準をおいて失敗した会社
A社では、経理のマネージャーを採用するに当たって、広告募集を行い、そのうち何人かを面接した。
うち、現地で特に有名な大学を卒業、またこれまでに転職が一度もない候補者Bを採用した。採用後、Bの仕事ぶりは今ひとつで、特に業務が常に忙しいA社ではBのスローペースが大きな問題となった。
後にA社はある人事コンサルティング会社にこれらの悩みとB氏の処分について尋ねた。その際、現地(米国において)の採用の際にチェックする点、重要視すべき事項が出身校の知名度や転職回数の少なさとはまったく違うことを認識させられた。
「アメリカでは出身校の知名度だけではその人材の優秀さを語ることはできません。どの学校で何を専攻し、特に社会に出てからどんな仕事を経験し、どんな成果を上げてきたかが重要です。
逆に、募集する方も優秀な人材は“この職場でどんな仕事ができ、それによって自分は何を身につけられるか”を常に目指しており、よって現在の職場でもうこれ以上あまり学ぶこと、プラスになることがないと思えば、新たなオポチュニティ・チャレンジを“外”に求めていきます。だから、一概に転職回数が少ないから誠実な社員と言うことはできないのです。
また、与える仕事に応じた適切な人材を採用することが重要です。いくら優秀な人材を採用できても、その人に与える仕事がたいしたものでなかったら(能力を持て余すようだったら)、その人材は結局は会社を去っていってしまうでしょうし、そんなことを続けていたら会社も損をしてしまう。
つまり、優秀な人材を入れるなら、会社としてもそれなりのキャリアパスを用意してなければならないのです。これは、その会社の給与体系に魅力があるか否かの問題とも関係してきます」
A社ではそれ以降、「何でもかんでも優秀な人材を採る」という方針から、「募集する職種に応じた人材を選ぶ」という方針に変更した。
またその際、自社の給与水準を他社と比較しながら募集ターゲットを絞る採用計画を立てるようになった。そのため、それぞれの採用面接の場面では能力的に1番手、2番手をあきらめ、3番手、4番手の人材を採用することもあった。
しかし、その後A社の転職率は減り、結果として採用効率はアップしたのである。このケースは、日本的な「とにかく優秀な社員を採用する」という発想から、「適材適所に社員を配置する」という合理的な発想に切り換えて成功した例であるが、1つ注意事項を挙げれば3番手、4番手の人材を採用する際の配慮であろう。
応募者の立場で言えば「なぜ自分がトップなのに採用されないのか」となってしまう。一般的に採用の評価を外部に出すことはないが、もし非採用者がマイノリティー雇用差別などで訴えた場合にはその評価を調べられ、問題となる可能性もあるだろう。
そのため、そうした必要以上に優秀な社員には、面接時に募集している職種の性質と将来性をある程度説明して、理解してもらうことも必要であろう。 こうした真摯な態度で会社側も臨めば、訴訟に結びつくことはほとんどない。
それでも「採用して下さい」というのなら、そのやる気にかけるのも一案である。大切なのは、採用に当たっても会社のポリシーを確立することである。
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