給与・福利厚生に関する相談課
日本人社員を現地のアメリカ人社員より厚遇してよいのか?
一般的に国際企業の海外駐在員には、特殊な手当てやベネフィットが支給されることが多い。IRS(米国内国歳入庁)でも、こうした特別な手当の税務上の控除についてのレギュレーションを明らかにし、そうした支給の正当性を承認している。
また、外国からアメリカに派遣されてくる従業員に支給される手当が、その出身国から、長期間外国に派遣されることに伴う負担を軽減する主旨のものであるとの理解を示した判決もある。
しかし、現地社員から見たこうした駐在員の厚待遇は、手当の支給に対する法的問題が提起されないとは限らない。
彼らの言い分としては、「駐在員にだけ手当が支給されて、我われアメリカ人社員に支給されないのは、タイトルセブンなどで禁止している人種、性別、出身国などに基づく差別であって、そうした会社の方針は認められない」という主張である。
そうなると、会社としては、そうした手当がなぜ彼らに支給されないのかを説明する必要に迫られる。
この問題については現在、EEOC(雇用機会均等委員会)が外国からの駐在社員に対する特別な手当が差別的でないものと認められるための基準を公にしている。
それによれば、その出身国がどこであるかを問わずにすべての駐在員に対して支給される手当であり、かつ
(1)海外駐在に伴う実際のコストや費用に見合った支給であること、
(2)信頼性の高い公式に基づいて算定されていること、といった要件を満たす場合には、タイトルセブンの違反としての差別にはならないものとなっている。
〔※注:ただし、このEEOCの基準は1989年のオピニオンレターによって明らかにされたもので、これ自体は法律ではない。よって、裁判所を直ちに拘束できるものではないが、国際企業が海外駐在員への手当を決定する際には大きな判断基準になるだろう〕
海外駐在員への追加的な手当を考える場合、当該の社員に対してその費用などを補償するものであることを前提にすれば無難であろう。これが、海外駐在希望者を募るための割り増し賃金といった性質のものであれば大いに危険を伴う。
また、海外で採用された社員が別の国に派遣されるような場合についても、差別なく適用されるものでなければならない。
いずれにしても、国際企業はこうした点を踏まえて海外駐在プログラムを書面化しておいた方が良い。信頼性の高い統計資料に基づき、あくまでも実際のコストを払うという内容のものにすることを考えるべきである。
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