人事考課に関する相談課
基準に満たない社員の昇進要請にどう対処するか?
バイスプレジデントから昇進申請の件で次のような書面を受けた。給与担当者としてどう対処すべきか?
「私の部下で、現在事務職1であるAさんの事務職2への昇進を正式に申請致します。Aさんは先日そちらの事務所にてタイプのテストを受け、結果は35ワードでした。事務職2の基準は50ワードであることは充分承知しておりますが、Aさんは私のオフィスにおいて必要な仕事を遂行する能力を充分に持っております。彼女はこの会社に勤めて5年にもなり、愛社精神もあり勤勉な従業員です。現在当部署では事務職2のポジションも空いております。何卒ご承認を頂けますようよろしくお願い申し上げます」。
この場合、上のポジションが空いていてAが一番適任であるにも拘わらずタイプが35ワードで基準に満たなかったわけだ。35ワードは目をつむってその他の面を重視し、他の項目がすべて良ければ昇進してもいいんじゃないかと思ってしまう。彼女がその部署では一番慣れているだろうし、他の人ともうまくやっているから昇進の申請が出たのだろうし、外部から新しい人を採用するよりはよっぽど良いと考えるかも知れない。
しかし、もしAを昇進させたらどうなるか。事務職1にいるタイプ35ワード以上の社員はきっと「私も昇進できる」と思うだろうし、それを主張することになる。こういう状況ではAを昇進させないことが米国式のやり方だ。事務職2の業務ではタイプ50ワードは必要条件である。どのような状況でもこの基準を守ることが公平さにつながる。
しかし「昇進できない!」だけの否定的な返答だけでは優秀な人事部としては不十分である。次のように答えればどうだろうか。
「タイプ35ワードでは事務職2に必要な条件タイプ50ワードを満たしておらず、残念ながら今回は昇進することはできません。しかしタイプの技術を向上させ、もう一度試験を受けるようにAさんに指導し、励ましてやって下さい。もしAさんのために会社の設けた基準を変更すると、基準を引き下げるという前例を作ってしまうことになります。他の従業員も同様にできれば基準を引き下げて欲しいと思っているのです」。
このように書けば、全従業員に公平な人事・昇給・昇格システムであることを理解させることもできるし、また昇進しようとするAのやる気を促すこともできる。そして、実力で昇進できた暁には、きっと公明正大な気持ちで自分にも自信が持てることだろう。
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