人事考課

人事考課に関する相談課

他社からの採用条件をもとに昇給・昇進を交渉されたら?

有能なベテラン社員に他社からの引き抜き要請があり、自社よりも高い採用条件が提示され、それをもとに次のような内容の昇進昇給の願いが出された。どう対処すれば良いか?

「私はこの会社に勤めて10年になります。現在私の仕事は事務職4のシニアセクレタリーで給与はレンジの最高額、月2,680ドルとなっています。先日セントラル社から同様の仕事で8%増の給与での採用通知がありました。この会社ではたいへん楽しく仕事をさせていただきましたので、できれば辞めたくはありません。しかし私の主人が体をこわし、3年間は仕事に就けないため、選択の余地がないのです。先ほども申しましたが、この会社での10年間は私にとってたいへん有意義なものでした。上司ともうまくやってきましたし、2週間の夏休みを除いてはこの10年間欠勤もしませんでした。もしセントラル社の申し出と同じ額の給与を頂けるのであれば、私はこの会社に残りたく存じます。私が望む給与はこの会社ではエグゼクティブセクレタリーの給与額であり、現在欠員がないことは承知しています。しかしながら私の申請を一度ご検討下さいますようお願い申し上げます」。

この女性は病気のご主人を看護しながら働いていかなければならない。断れば退職してしまうだろう。そうした勤務意欲の高い社員を退職させてまでポリシーを守る必要があるのか。会社にとって残って欲しい人材ならば8%くらい上げてもいいんじゃなか。

日本人なら、こうした気持ちもなくはない。だが、これを許したら結局、言った者勝ちということになってしまう。それではだめなのである。

時間と経費を費やして確立された給与システムというものは簡単に破られるべきものではないし、それを破れば、何よりも給与システムの目的である『公平さ』を犯すことになるのだ。給与システムを確立している会社では各仕事の価値が決定していて、それに携わる人がどのような状況にあっても、またどんなにすばらしい仕事をしようとも、給与レンジの最高額を越えて支払うことはない。そこで彼女に残ってもらうためには別の方法を考える必要がある。

たとえば、彼女にエグゼクティブセクレタリーになる資格があるか、もう少し頑張れば資格をとれる場合、その欠員ができるまで待ってもらうように頼むこともできる。また、彼女にそのような資格がない場合でも「レンジの最高額をもらっていることは貴女がすでに一級のシニアセクレタリーであることをマネージメントに対して証明している。しかし新しい会社ではまた最初からそれを証明していかなければならない」などと説明しながら、給与以外のベネフィットなど他社に比べて良い点を売り込み、残るように説得することもできる。

10年も勤めていると有給休暇、年金、退職金など、別の会社に移って1から始めるよりも現在の会社に留まった方が得な場合も必ずあるだろう。

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