人材育成に関する相談課
上司にとってコミュニケーションスキルは何より重要
日系大手商社のAは、つい最近、日本より派遣された駐在員管理職である。Aは学生時代に当地の大学に留学していたこともあり、英語も流暢に話す。
また、日本を出る前にEEOなどの米国人事に関するトレーニングも受けてきたため、実際は初体験となるアメリカ人の部下の管理、指導にも自信を持っていた。実際に着任直後は部下からの信頼も受けていたようで、職場も明るかった。
しかし、日本本社へ少しでも良い業務報告を行おうと部下に売上げ倍増論を展開し、指揮を取り始めた頃から次第に部下が離れていった。
2カ月が過ぎた頃には、業績を伸ばすどころか逆に下降し始めた。しかも部下は傍観するばかりであった。Aはついに一部のグループ社員に「お前たちが頑張らないから悪いのだ」と怒鳴ってしまった。すると、かれらは「貴方は何様だ、自分たちは差別を受けているのと同じだ」と反論してきた。さすがにAも困ってしまい、このままではいけないと思いきって外部コンサルタントに状況の説明をし、解決策を求めた。
コンサルタントが最初に指摘したことは、Aのコミュニケーションスキルの不足であった。コンサルタントは、「貴方は自分の部下がその案に対してどう感じたか、納得できたか、また部下に他のアイディアがなかったどうか、などの話し合いをまったく持たなかった。加えて、その案の導入後も部下のフォローアップを行うことがなかった」と問題点を挙げたのである。
アメリカでは、何か新しいプランやプログラムを取り入れる時は、特にスタッフ間でのコミュニケーションを重要視している。部下との良い上下関係を保っていく上での基本である。コンサルタントは、「そのあたりをしっかり気遣っていたのなら、従業員から『差別を受けているのと同じだ』という発言を受けることもなかったはずです」と言った。
このケースから日本からの駐在員のコミュニケーションスキルの必要性を強く感じる。部下をサポートするのが上司の役割の1つである。コミュニケーションを通じでやる気を出させ、目標を達成していくのである。やみくもに部下に強制してはいけない。
また、アメリカでは目標を設定したなら具体的な指示を出していかなければならない。たとえば、詳細なスケジュールの説明が必要であり、その後のフォローアップも重要である。さらに、アメリカ人社員にとって、一方的に言われることは差別と取られる可能性が大きい。
また、(客観的に見て)全社員が知るべき内容を一部のグループだけに話をしたことが差別として問題になったケースもある。いろいろ注意が必要である。
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