就業規則に関する相談課
従業員ハンドブックに規定していても無効と判断される項目は?
テキサスにある自然食品のスーパーマーケットA社は、規則だけを並べただけの人間味のないハンドブックが主流だった90年代初頭、それまでの常識を超えた斬新なハンドブックを作成し、上手に活用したその結果、その後5年間で急成長(当時支店を8つに拡充、社員数約750人、年間売上4,500万ドル超を達成)したことで有名である。
同社のハンドブックは、長々とした繰り返しの多い「すべし、すべからず」の規則集ではない。自らの目指すビジネスを詳細にわたって紹介することに焦点を当て、企業情報として「どのようにこのビジネスが起こったか」「何を目指し、運営しているのか」などの内容を社員に伝達。組織についてやビジネスの運営スタイルについても詳しく記載されている。
特に注目すべき点は、社員のキャリア向上の仕方についてのアドバイスや、上司や同僚が何を期待するかについても言及するほど、非常に内容の濃いハンドブックであったことだ。
規則ひとつとっても、「社員はストアーの駐車場の使用を禁止されている。顧客の便宜を考える前に自分の便宜を図ってはならない」「我われは全員、顧客へのサービスをビジネスとしている。不必要に顧客にショックを与えることは望むところではない」といった書き方をし、その規則の背景には何を言いたいのかを説明しているため、とても納得しやすいものとなっている。
実際、そのハンドブックを使うようになってからは、従業員から「的確に従業員の権利を述べているため自分の位置を認識することができる」と好評を得て、勝手気ままに上司を攻撃するなどといった行動を抑止する効果があったと言う。
また、どうすればビジネスの運営が上手くいくのかを従業員に知らせ、「この企業はあなたの企業でもある」といったことをも認識させようとしたので、企業のビジネス計画に進んで協力したいと思わせる意識を発揮することにもなった。
ハンドブックをセントラルコミュニケーションとして活用した結果、一丸となってビジネスに参加しようとする姿勢を従業員に持たせることに成功し、利益を上げた良い例である。
内容は簡潔な英語で書かれており、法的プロテクションとしての意向を優先としておらず、また適切な理由があればいつでも改訂するといった考え方を持っている。
たとえば、現場での事故が多発し社員に対する保険が高額な出費となった時期、ある社員のアイディアから安全対策のトレーニングを開始し、その結果事故が減少し掛金の低下を生んだこともあった。一般社員が自ら進んで企業の立場に立った考えを持つというケースは、アメリカでは日本ほど多くない。
このようなハンドブックを作成するには弁護士だけに頼っていたのでは出来上がらない。弁護士に任せっきりにするのではなく、企業の特質、スタイル、哲学に沿ったハンドブックを作成し、従業員のやる気をさらに盛り上げていくことが大切である。
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